ブロックとイテレータ

ブロックはRubyの特長です。 ブロックのおかげで記述が非常にすっきりと分かりやすくなります。 今回はブロックをイテレータの本体として使う方法を説明します。

繰り返し

同じことを何回もやるときのブログラムについて述べます。例えばHello worldを3回表示したければ、

print "Hello world.\n"
print "Hello world.\n"
print "Hello world.\n"

でも良いのですが、もっと良い方法があります。 整数のメソッドにtimesというのがあります。 これはそのメソッドに付属するブロックをその整数の回数だけ繰り返すというメソッドです。

3.times do
  print "Hello world.\n"
end

doからendまでを「ブロック」といいます。 ブロックにはRubyの任意のプログラムを書けます。 timesメソッドはその整数の回数だけ繰り返すので、10回繰り返したければ10のtimesメソッドを使えば良いのです。

10.times do
  print "Hello world.\n"
end

他の言語にもブロックがあるのかどうかは知りませんが、少なくともCにはありません。 Cでブロックと同じようなことをするには関数へのポインタを使いますが、Rubyのようにスマートにしかも短く書くことはできません。 むしろCではfor文を使ったループの方が素直なプログラムになります。

timesのように繰り返しをするメソッドでループを表現することをイテレーションといいます。

uptoメソッド

整数のメソッドで有用なもう一つはuptoです。 このメソッドにはパラメータがあります。

1.upto 5 do |i|
  print i
  print "\n"
end

整数1のuptoメソッドは1から始めて引数の5までをブロックのパラメータのiに代入してループします。 パラメータの文字はiでなくても、例えばlimitのような5文字でも構いません。 この文字は変数というものの一種です。 変数は文字列ではないのでダブルクォートで囲むことはしません。 変数については別の回で詳しく説明します。

ブロックのパラメータは縦棒|で囲むことになっています。 それに対してメソッドの引数はカッコ()で囲むか、半角空白でメソッドと引数を離すのでした。 メソッドとブロックは似ていますが、本質的に違うものです。

実行すると

1
2
3
4
5

と表示されます。

uptoに似たメソッドでdowntoがあります。 これはその整数から1ずつ小さくなって、引数まで繰り返します。

10.downto(6) do |i|
  print i
  print "\n"
end

ここではメソッドdowntoの引数にカッコをつけました。 半角空白で離してカッコを省略する書き方もできます。 実行すると

10
9
8
7
6

と表示されます。

ブロックの2つの書き方

ブロックは、do, endで囲みましたが、これを波カッコにすることもできます。

1.upto(5) {|i| print i; print "\n"}

波カッコでは、ブロックが短く、1行で書ける時に使う人が多いと思います。 注意すべきは

  • 引数にはカッコをつけなければいけない。 メソッドとカッコの間に半角空白を入れない。 この理由は、Rubyがdo-endよりも{ }の方をその前の引数と強く結びつけるためです(構文解析上の問題)。
  • 1行に2つの文を入れるときはセミコロンで区切る

ということです。

私は以前はdo-endを多く使っていましたが、最近は波カッコが多くなってきました。 というのは、Rubyのメソッドは優れていて、一行でブロックが収まることが多いからです。 どちらを使うかはメソッドによって9割くらい決まるように思います。 今回のtimes、upto、downtoはdo-endを使うことが多いかもしれません。

2023

単項マイナスと構文解析

1 minute read

単項マイナスとは 単項マイナスと括弧 括弧なし単項マイナスを許容する場合のBNF calcの場合

Raccライブラリと構文解析

3 minute read

パーサ・ジェネレータとは 少し複雑な文法 四則(加減乗除)計算のBNF Racc で実装 クラス定義、BNFの記述部分 ヘッダー、インナー、フッター コンパイルと実行 演算子の優先順位と結合における左右の優先順位 まとめ

StrScanライブラリと字句解析

less than 1 minute read

StrScanライブラリのドキュメント 字句解析とは StrScanライブラリ StrScanライブラリを使った字句解析 実例

Gem

1 minute read

lbtというgemを作って公開してみた lbtはどんなgemか ファイルの配置 lbt.gemspec Rakefile gemのビルド RubyGems.orgへのアップロード 補足・・rake/gempackagetaskサブライブラリについて

Encoding

1 minute read

文字列のエンコーディングに頭を悩ませることはほとんどなくなりました。 なぜなら、どのアプリ、システムもUTF-8を使うようになったからです。 Rubyでもエンコーディングの問題が起こることはまず無いでしょう。 ですが、今回はエンコーディングの考え方を整理してみたいと思います。

Thread

less than 1 minute read

Fiberを書いたときから、次はスレッドを書こうと思っていましたが、時間がかかってしまいました。 その理由は、期待したとおりのスレッドの効果がなかったためです。 今回はそのことを書きますが、これはRubyのスレッドの抱えている問題なのか、自分のやり方が悪いのかははっきりしていません。

Fiber

1 minute read

Fiberは「ノンプリエンプティブな軽量スレッド」とRubyのマニュアルに記載されています。

RDoc

less than 1 minute read

今回はRubyプログラムから自動的にドキュメントを作成するRDocについて書きたいと思います。 私はこのことについて、エキスパートではありません。 この記事も、初心者の体験談だと考えてください。

Back to Top ↑

2022

Ruby/GTK4

5 minute read

Ruby/Gtkの記事を先日書いたときに、「これはかなり使える」という手応えを感じたので、WordBook(Railsで作った単語帳プログラム)のGTK 4版を作りました。 プログラムは「徒然なるままにRuby」のGitHubレポジトリに置いてあります。 レポジトリをダウンロードし、ディレクトリ_example/...

Shoes – Rubyとグラフィック

5 minute read

Rubyはグラフィックについて弱い印象があります。 しかし、グラフィックはデバイスに関することなので、言語そのものには直接の関係はないはずで、あるとすればライブラリです。 今後グラフィック関係のgemが開発されることに期待しましょう。

Rails7 テスト

5 minute read

前回作ったWordbook(リソースフル)のテストを書いてみます。 RailsのテストはminitestをRails用に拡張したものです。

Rails7 モデルとデータベース

2 minute read

今回はRailsにおけるデータの作成と保存、そして変更について説明します。 そのベースになるモデルとデータベースの話から始め、appendとchangeの動作について詳しく説明します。

Rails7とBootstrap

2 minute read

一般に、HTMLは文書の構造を表し、CSSはその体裁(見栄え)を表します。 Railsは最終的にCSSを含むHTML文書を出力するので、この2つについての理解が必須です。 この記事ではとくにCSSの人気ライブラリであるBootstrapを紹介します。 BootstrapはJavascriptも含んでいます。

Rails7のインストール

2 minute read

Rubyの最も人気のあるアプリケーションであるRuby on Railsを取り上げようと思い、書き始めました。 予想してはいましたが、相当な分量になってしまいました。 そのため、何回かに分けて記事にすることにします。 また、対象となる読者のレベルをどうしようかと考えましたが、「徒然Ruby」が基礎的な内容から始ま...

GemとBundler

1 minute read

Rubyのライブラリ管理システムのRubygemsとコマンドgemおよびbundlerについて説明します。

minitest(3)モックの詳細

2 minute read

minitestについて連続して2回書いてきました。 「minitestはドキュメントが少ない」という人がいますが、私も同感です。 例えば、モックとスタブの説明も少ないです。 そこで、今回はmock.rbのソースコードを参考に、モックの私的ドキュメントを書いてみました。 あくまで私個人の考えであり、minites...

minitest(1)テストとは

2 minute read

アプリ作成の記事でminitestを使いました。 今回はminitestについて、また一般にテストについて、私の考えを書こうと思います。

public、private、protected

2 minute read

今回はメソッドの呼び出し制限ついて説明します。 呼び出し制限にはpublic、private、protectedの3つがあります。

アプリ制作、インストール、テスト

1 minute read

2023/10/29 追記:この記事は新しく書き直しました。 古い記事で使っていたGitHubのCalcが大幅にアップデートされたためです。 そこで、この記事に合うようなプログラムsimple_calcを新たに作りました。 このプログラムは本レポジトリの_example/simple_calcにあります。

case文

2 minute read

if〜elsif〜・・・〜else〜endは皆さん良く使うでしょうか? これは場合分けで良く使われる方法です。 これと同様の制御構造にcase文があります。 Cのswitch文に似ていますが、より強力な機能を持っています。 if-else-endよりも高い能力があるといえます。

Lambda

1 minute read

Procオブジェクトを生成するメソッドlambdaについて説明します。

Proc オブジェクト

2 minute read

今回はブロックを一般化したオブジェクトProcを説明します。

モジュール

less than 1 minute read

モジュールには名前空間とミックスイン(Mix-in)の2つの機能があります。 ここではミックスインについて説明します。

Kernelモジュール

1 minute read

Kernelモジュールのメソッドはどこでも使うことができます。 そのメソッドの中には便利で有用なものが多いです。

便利なメソッド

1 minute read

ここでは私が便利だと思ったメソッドを紹介します。

文字列と正規表現

2 minute read

文字列は最も使うオブジェクトのひとつです。 特にウェブ・アプリケーションでは、コンテンツだけでなくHTMLのタグやCSSを含めすべてが文字列です。 Rubyは文字列オブジェクトのメソッドが充実しており、またパターンマッチのための正規表現も充実しています。

配列

2 minute read

配列は、どのプログラミング言語にもあると思います。 複数の要素を一括して扱うことができるのが配列です。 Rubyの配列はメソッドが充実しているので、プログラムを効率的、機能的に書くのに役立ちます。

トップレベルのメソッド

1 minute read

今回はメソッド定義です。 メソッド定義はRubyの核心ですが、今回はトップレベルに限って説明します。 この限定によって、内容はかなり易しくなっています。

ブロックとイテレータ

less than 1 minute read

ブロックはRubyの特長です。 ブロックのおかげで記述が非常にすっきりと分かりやすくなります。 今回はブロックをイテレータの本体として使う方法を説明します。

整数

less than 1 minute read

ここではRubyの最も基本的なオブジェクトである整数について説明します。

Hello world

less than 1 minute read

「徒然なるままに」をネットで調べてみると、「することもなく、手持無沙汰なのにまかせてという意味」とありました。 まさに、自分の現状を言い当てた言葉。 しかも、ブログに書くネタもなかなか思いつかない日々。

Back to Top ↑